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Monday, 1 August 2016

Journal of Forest Research, Vol.20, No.2(2015年4月)

種類: 原著論文/社会経済-計画-経営
Title:  Comparing 30-year diameter censuses and tree-ring chronologies in natural old-growth Cryptomeria japonica forest on Yakushima Island, Japan
巻頁: J For Res 20 (2): 255-262
題名: 屋久島のスギ老齢林における過去30年の直径計測と年輪幅計測の比較
著者: 伊髙静,吉田茂二郎,溝上展也,太田徹志,高嶋敦史,加治佐剛
所属: 九州大学農学研究院
抄録: 継続して行われている現地調査から求めた直径成長量と,年輪幅計測から求めた直径成長量を比較することで,老齢林における直径計測の精度を評価した。屋久島における老齢スギ林を対象に,1973年から10-19年間隔で直径計測を3度行った。計測した直径から(1)計測1回目から2回目(15-19年),(2)2回目から3回目(10-13年),(3)1回目から3回目(28-30年)の3パターンの直径成長量を求めた。真値として,年輪幅計測により同じ期間の直径成長量を算出した。t検定の結果,計測間隔が20年より小さい場合,直径計測と年輪幅計測から算出した成長量の間に有意な差が見られた。しかし,計測間隔が27年より大きい場合は有意な差は認められなかった。平均誤差率は,全ての計測間隔と直径階で高い値を示したが,計測間隔が28-30年の時は10-19年より低い値を示した。平均誤差率の値はすべての計測間隔において,胸高直径の値が上がるに伴って上昇する傾向にあった。すなわち,正確な直径成長量を推定するためには計測間隔が27年より大きいことが推奨される。さらに,大径木の計測は慎重に行うべきである。今回の結果より,天然老齢林の直径計測の難しさが示唆された。

種類: 原著論文/環境
Title:  Intrinsic water use efficiency in wet and dry years at young and old plantations of Pinus sylvestris var. mongolica in semiarid China
巻頁: J For Res 20 (2): 263-271
題名: 中国半乾燥地域の Pinus sylvestris var. mongolica 人工林若齢・老齢林分における湿潤・乾燥年の潜在的水利用効率
著者: Lining Song,Jiaojun Zhu,Mingcai Li,Qiaoling Yan
所属: Institute of Applied Ecology, Chinese Academy of Sciences
抄録: Rainfall is the most important factor influencing the growth and survival of Mongolian pine (Pinus sylvestris var. mongolica), but the responses of these trees to extremes of rainfall are still poorly understood. Intrinsic water use efficiency (iWUE, as proxied by δ13C), specific leaf area, dry matter content, soil water content and groundwater level were measured in 18-year-old and 38-year-old Mongolian pine stands (young and old) during two conservative years with extreme rainfalls (280 mm, 2009; and 580 mm, 2010). The results indicated that young trees displayed higher δ13C values of current-year-old needles in 2009 than in 2010, but no difference was detected in old trees. For both age groups of trees, no significant differences were observed in the specific leaf area and dry matter content of current-year-old needles between the two years. These results suggested that the iWUE of young trees was more sensitive to the extreme rainfall than that of the old trees. The groundwater level remained within vertical root distributions for old trees. In 2009, the mean δ13C value of the current-year-old needles was higher in young trees than in old trees, but this pattern was reversed in 2010. In conclusion, young trees improved iWUE to acclimate to extremely low rainfall, whereas old trees maintained a lower iWUE, possibly because of the uptake of groundwater.

種類: 原著論文/環境
Title:  Decomposing ability of diverse litter-decomposer macrofungi in subtropical, temperate, and subalpine forests
巻頁: J For Res 20 (2): 272-280
題名: 亜熱帯林・温帯林・亜高山帯林のさまざまなリター分解性大型菌類の分解力
著者: 大園享司
所属: 京都大学生態学研究センター
抄録: 異なる気候帯の森林で採取したリター分解性の大型菌類を対象に、リターおよびリターに含まれる難分解性物質の分解活性を純粋培養条件下で調べた。本邦亜熱帯林、冷温帯林、亜高山帯林で採取した6科75菌株を、各サイトにおける主要な基質である計8種類のリターに接種して分解力を評価した。20℃で12週間にわたって培養したときに引き起こされるリターの重量減少率(初期重量に対する%)は、-3.1%~54.5%の範囲にあった。異なる気候帯の菌株でも、潜在的な分解力はおおむね同程度であったが、モミ属針葉では重量減少がほとんど認められなかった。難分解性のクラソンリグニン(酸不溶性残渣)の分解活性が、多くの菌株で認められた。ホウライタケ科の菌株はクラソンリグニンの選択的分解活性がクヌギタケ科よりも高く、またF層物質に含まれるクラソンリグニンの分解活性も高かった。窒素含有率の高いブナ落葉でのクラソンリグニンの重量減少率は、窒素含有率の低いブナ落葉でのそれよりも低かった。この窒素によるリグニン分解の抑制作用は、クヌギタケ科の菌株で顕著であった。

種類: 原著論文/環境
Title:  Variations of winter surface net shortwave radiation caused by land-use change in northern Hokkaido, Japan
巻頁: J For Res 20 (2): 281-292
題名: 北海道北部の土地利用変化による冬季の地表面短波放射収支の変動
著者: 鈴木和良,リストン グレン,兒玉裕二
所属: 海洋研究開発機構・地球表層物質循環研究分野
抄録: 土地利用変化による地表面アルベドと短波放射収支の変動を評価するため、MicroMet/ SnowModelを基にした簡便な放射収支モデルを開発した。そのモデルを用いて、緯度0.5度×経度0.5度の広い領域内を100m格子の解像度で、地表面アルベドと短波放射収支をシミュレーションした結果、地点観測データを良好に再現出来ることが確認された。領域内が一様な土地利用で比較されている場合、複雑地形にもかかわらず、冬期間の地表面短波放射収支のヒストグラムはガウス分布で近似できることを見いだした。しかしながら、領域内が複雑な土地利用で覆われた場合、地表面短波放射収支のヒストグラムのピークは2つになり、その標準偏差も大きくなって、ガウス分布で近似できなくなった。その様な複雑な土地利用が領域内に広がるとき、地表面短波放射収支の空間分布は、各土地利用形態に起因するアルベドに強く依存するが分かった。領域内が自然混交林で一様に覆われた場合、地表面短波放射収支の空間分布はアルベドの変動より、斜面方位による日射量変動に強く依存した。また、領域内が再生したカンバ林で一様に覆われる場合、地表面短波放射収支の空間変動に対して、斜面方位による日射の影響は小さくなり、アルベドの変動が支配的なった。さらに、領域内を一様な裸地が覆った場合、地表面短波放射収支は地表面アルベドと標高に強い相関を持った。標高と強い相関を持った理由は、標高が高くなるほど積雪期間が長く、積雪量が多くなったことで、冬期平均アルベドが高い標高ほど大きくなったためである。以上のことより、本研究では、地表面短波放射収支の評価にとって、地形の影響よりもむしろ、土地利用変化の影響が支配的であることを明らかにした。

種類: 原著論文/生物-生態
Title:  Analysis of the mating system, reproductive characteristics, and spatial genetic structure in a natural mangrove tree (Bruguiera gymnorrhiza) population at its northern biogeographic limit in the southern Japanese archipelago
巻頁: J For Res 20 (2): 293-300
題名: マングローブ樹種オヒルギの分布北限域である琉球列島の天然林における交配様式、繁殖特性、空間的遺伝構造の分析
著者: Md Sajedul Islam(サジェドゥル・イスラム),練春蘭,亀山統一,宝月岱造
所属: 東京大学大学院農学生命科学研究科
抄録: マングローブ樹種オヒルギの分布北限域に当たる琉球列島の西表島の浦内川河口部のマングローブ林に生育するオヒルギの成木・稚樹と散布体(胎生芽)について、nSSR および cpSSRマーカーを用いて、その交配様式、繁殖特性、空間的遺伝構造について分析した。遺伝的多様性は低いこと、1ハプロタイプが優勢であること、自殖率が相当高いこと、同系交配が顕著に高いと思われること、が示された。花粉と散布体(胎生芽)は林内に広範に散布していることが推測された。空間的遺伝構造は認められなかった。以上のことから、浦内川河口のオヒルギ集団は、おそらく、少数の母樹に由来し、外部からの遺伝子源の供給が限られた状態で、均質な遺伝的集団を形成してきたものと考えられた。

種類: 短報/生物-生態
Title:  Highly polymorphic nuclear microsatellite markers reveal detailed patterns of genetic variation in natural populations of Yezo spruce in Hokkaido
巻頁: J For Res 20 (2): 301-307
題名: エゾマツの超多型SSRマーカーの開発により天然集団の詳細な遺伝的変異が明らかになる
著者: 岩泉正和,逢沢峰昭,渡辺敦史,後藤晋
所属: 森林総合研究所林木育種センター関西育種場
抄録: 北海道の主要林業樹種であるエゾマツ(Picea jezoensis)を対象に21のSSRマーカーを開発し、それらの超多型性を確認した。そのうち10マーカーの性能を、道内の9天然集団のDNAサンプルにより評価した。集団の遺伝的多様性や遺伝的構造には地域的傾向は見られなかったが、一部の隔離集団や辺縁集団で多様性の低下や偏りが存在すること等、詳細な遺伝的変異が明らかになった。

For further details log on website :
http://www.forestry.jp/publish/JFR/abstract/JFR-20-2.html

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